ロードバイクとランドナーの違いの概要(1)
ランドナーに興味を持ってくださる方が
多少は増えてきているようだ。
ベテランが「あらためて乗り直す」という
時期は一周したのかもしれない。
新しい人が加わってくれるのはありがたいことである。
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ランドナーについて感心を持ってくれている人の多くは、
現在、ロードバイクに乗っている人だろう。
ひと口にロードバイクと言ったって
競技志向のレーサーレプリカから、
よりマイルドなコンフォート系のものまでいろいろあろうが、
ここではとりあえず、総括的に考える。
基本700Cの細いタイヤの車輪で、
現在はアルミまたはカーボンを主たる素材にしたフレームに、
パーツメーカーが用意したコンポーネンツを装着し、
ハンドルはドロップ、
マッドガードはもちろん、ライト等の保安部品も
基本的には付属しておらず、
またそれを取り付けるための専用のアタッチメントなども
フレーム自体には付属していない。
そんなところがロードバイクだろう。
クロムモリブデン鋼の伝統的なフレームも
もちろん存在しており、私も好みだけれど、
今日的なロードバイクの中では少数派なので、
ここでは代表的な素材としては位置づけない。
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細かいところを言うとキリがないので、
あくまで今日の記事は
ランドナーに類する車種に詳しい知識のない方を対象に
概容的なことにとどめます。
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まず車輪。
車輪が自転車の性格の大半を決めるからだ。
特にそのうちでもどういうタイヤを装着しているかが重要である。
ロードバイクはふつう700Cリム(ETRTO/622)を使用し、
23Cまたは25Cくらいの細いタイヤを履く。
またそれは多くの場合、7気圧前後の高い空気圧での運用が求められる。
現在はこういう車輪は完組みホイールとなっていることが
ほとんどだ。
細く高圧なタイヤによって、設置面積は小さく、
そのため容易に高速が出るが、
乗り心地は硬く、ブレーキ性能やコーナーリング性能は
太めのタイヤに及ばない場合が多々ある。
速く走るためにタイヤを細くしているのは、
人間エンジンの出力が限られているからである。
モーターサイクルは人間よりは出力の増加が
ずっと用意なので、
ロードバイクよりはずっと太く重く低圧なタイヤを履き、
高速からのブレーキングや
バンク角の大きなコーナーリングを可能にしている。
同じことをロードバイクのタイヤと車輪で
行うことはまず不可能である。
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ランドナーに類する自転車の車輪は、
伝統的な手組み車輪が今でも主流だ。
同じWO規格のリムであっても、
ロードバイク用よりも若干幅のあるものを使用する
ことがほとんどである。
履くタイヤが太いからだ。
ランドナーは650Aまたは650Bという
26インチ系のリムを採用することが多く、
650AはETRTO590、
650BはETRTO584である。
こうしたリムに対し、
650×35A、650×38Bなどのタイヤを履く。
タイヤの実測幅はだいたい30㎜くらいかそれ以上ある。
太いタイヤは細いタイヤより低圧にでき、
体重や好みによっても異なるが、
3気圧から5気圧ぐらいで運用することが多い。
やや細めの28Cなどでは6気圧くらいでも使われる。
ロードバイクの700×25Cなどに対し、
空気量も多く、やや低圧なので、乗り心地も良い。
タイヤの設置面積も大きめである。
また、危険な縦の段差に対しても
ロードバイク用の細いタイヤに比べれば対応力があり、
ブレーキも効かせやすい。
空気量があることによって、
荷物を積んだ場合の操縦安定性も
細いタイヤよりは優れている。
ただし、タイヤ全体のボリュームがあるので
重量は増し、高速を維持するのは楽ではない。
もちろん加速も細いタイヤに比べると不利である。
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通常はあまり考慮されないことであるが、
35A以上の太さの、空気量のあるタイヤは
それ自体に路面の外乱の一部を吸収するような効果があるので、
車輪自体に若干のサスペンション効果もあるということだ。
細いタイヤで路面の凹凸を細かく拾いながら走ると、
その振動と衝撃でけっこうサイクリストは疲れるものである。
この点、ランドナーの車輪とタイヤは
長時間の乗車に対して疲れにくいということもできる。
ただし、車輪自体が多少重めになるので、
特に再加速の場合にパワーを食うことは確かだ。
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がまたこうも言える。
車輪には慣性での回転という要素もあるため、
素晴らしく軽い車輪がいつも必ず有利とは限らない。
単純に質量問題と考えれば、
ヒルクライムでは小径車輪が最も有利そうに見えるが、
実際にはそうではない。
登りの際には、むしろある程度車輪の質量がないと、
パワーを少しでも抜くとすぐに車速が落ちてしまうのだ。
私の感触では、登りはむしろある程度
質量のある車輪のほうが楽である。
ま、所詮とろとろと登っているわけなのだが。
そのあたりのことは、
実際には車輪全体の重量が重めになる
GOKISOのハブが登りでも有利なことが証明していよう。
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自転車の性格の最重要部分を決定するのは、
フレームではなくて車輪(タイヤ)なのだ。
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面白いことに、700×25Cと、
650×38Aまたは650×42Bのタイヤでは、
車輪全体の外径はそう大きくは変わらないのだ。
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700Cのリムでも、35Cくらいの太さのタイヤをつけると、
かなり良い乗り心地を実現することができるし、
より車輪が大径になるため操縦安定性は増す。
ただしフレームサイズも大きくせざるを得ないので、
身長のある方でないと採用しにくいタイヤなのだ。
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ま、とりあえず今日はここまで。
車輪の基礎的なことだけでも
けっこういろいろあるんである(^ ^)。
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ナマステ。ピース。