雨中に思う
愉しみとして自転車に乗るような人々は、
雨が苦手かと思い込んでいたのだけれど、
SNSで「わしは雨が好きだ」みたいなことを書いたら、
思いがけず案外多くの仲間が
「雨が好き」だったことがわかった。
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そりゃま、これから自転車で出かけようと思っているときに
降られるのはかなわないが、
そういう行動予定がないときには、雨もいいものだ、
と思っている人が多かった。
うれしいね。
特に予定がない休日の雨などは、
のんびりできていい、という感覚はよくわかる。
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雨は人の外出を面倒にするが、
家屋の親密さをあらためて感じさせてくれるし、
ガラスという発明の結果、
ウエットな風景をドライな世界から見ることが可能になったので、
環境音楽的な風景を飽かず眺めることができる。
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雨にはいろんな匂いがあり、
夏の驟雨が土ぼこりの匂いをかき立てたり、
梅雨どきの静かな雨がまだ新緑の息吹の残る
木立ちを香らせたりする。
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中学生の頃、雨天はいつも、
窓の外の見える丘陵地帯の一角が雨に煙るのを眺めていた。
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自転車の旅や散歩が好きな人は、
風景や里の自然が四季の中で見せる様々な表情やニュアンスが
好きなのであろう。
それは単純でシンプルなことなのかもしれないが、
だからこそ語り尽くすことができず、
また大量生産的に複製化することもできない。
文学や音楽やアートが描く雨も、そういうものだろう。
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ナマステ。ピース。